研究課題/領域番号 |
09680298
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
鹿島 央 名古屋大学, 留学生センター, 教授 (60204377)
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研究分担者 |
橋本 慎吾 岐阜大学, 留学生センター, 講師 (20293582)
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キーワード | モーラの等時性 / リズムユニット / リズム型 / 時間的配置 / 全体長 / ユニットの割合 / 日本語学習者 |
研究概要 |
本研究は、日本語のリズムが音声的にはモーラの実現によるものではなく、リズムユニットという新たに設定された単位の時系列上での特徴的な配置により引き起こされる現象であるという仮説に基づいている。このような考え方に従い、中国語、米語、韓国語、スペイン語を母語とする日本語学習者の語レベルでの発音を、これまでの研究のようなモーラの「等時性」を追求するのではなく、リズムユニットの時間的な配置特徴として生成面から日本語話者の特徴と比較し考察した。資料語は3、4、5モーラ語62語で、紙に書かれた文字と絵(文字なし)を見て、「これは( )です」という文中に入れ、それぞれ3回ずつ発音してもらった。被験者は東京方言話者3名、北京方言話者6名、米語話者4名、韓国語話者6名、スペイン語話者1名の計20名である。分析は、語全体の持続時間と各リズムユニットの割合であるが、その割合は(各ユニットの持続時間)÷(全長持続時間)(%)を用い、各ユニットの平均と標準偏差を算出した。分析の結果、日本語話者には以下の三点の時間配置の特徴が観察された。1)ユニット1の比率が低いこと、2)4モーラ121型ではユニット2の比率が高いこと、3)5モーラ語ではユニット2であるCVMの比率が語中の生起位置により変動することである。これに対して、学習者では、文字を読む場合と絵を見て発音した場合では、全長についても各ユニットの割合についても持続時間長が大きく異なることがわかった。各母語話者の時間的配置特徴を示すユニットの割合いでは、リズム型によってそれぞれに特徴がみられたが、いずれの話者にも語末ユニット1の伸長が見られ「ユニット2を基準としたリズムの実現」と考えられる傾向がうかがわれた。リズム型による各母語話者の特徴は、報告書に詳細が述べられているが、これらの特徴を形成する要因については、今後の重要な課題としている。
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