研究概要 |
1.今年度の研究によって得られた新たな成果 (1)第一言語と第二言語の違いに関する研究 平成10年度に行った発話調査の資料整理に基づいて、平成11年度は、非現場指示用法における指示詞コソアの使用状況を分析し、第一言語と第二言語における習得順序の類似点と相違点を明らかにした。そして、その成果を第12回国際応用言語学会世界大会(AILA,迫田1999a)で発表し、また第2回実用日本語学会世界大会(ICPJ,迫田2000a)で発表する予定である。 (2)習得に影響する言語内環境に関する研究 指示詞コソアの使い分けの誤用から、誤用を産み出す学習者のストラテジーとして「固定化」の現象を明らかにしたが、その現象は格助詞「ニ」と「デ」の誤用にも観察された。それらの現象は日本語学習者自身の文法構築の証であることを発表(迫田1999b)した。 (3)習得に影響する言語外環境に関する研究 平成11年度に計画した言語外要因の習得に及ぼす影響の調査として、韓国で日本語を学習する場合の習得状況の調査を依頼し、韓国国立大学のご協力によって、その発話資料46名分を収集できた。 2.今後の研究の展開および計画 (1)言語内環境に関する研究では、否定表現の誤用に新たな学習者のストラテジーが観察されること(迫田・家村2000b)を発表する予定である。言語外環境に関する研究では、外国での日本語学習の発話資料の分析を行い、国内の日本語学習者のデータと比較分析し、その成果を発表する。 (2)これまでの研究成果をまとめ、資料集および報告書を作成する。
|