平成9年度〜平成11年度にかけて、以下の研究を行った。それらに関する調査報告および成果をまとめる。 【誤用を誘発する日本語学習者の言語処理ストラテジー】 指示詞コ・ソ・アに関する習得研究において、学習者は指示詞が名詞と接続する場合には、その名詞の属性である抽象名詞か具体名詞かによってソとアの使い分けが行われることを明らかにした。場所を表す助詞ニとデに関する習得研究において、指示詞と同様に名詞とのユニットを形成していることが分かった。 また、初級から中級レベルの学習者が否定形を習得していく過程において、「じゃない」を否定の標識として付加するストラテジーをとることも明らかにした。 【第一言語習得と第二言語習得の違い】 発話内における指示詞コ・ソ・アの習得過程を第一言語と第二言語とで比較すると、その習得傾向には違いが見られ、周囲のインプット源である母親や日本語教師の指示詞使用に影響を受けている可能性が示唆された。 【教室指導の影響に関して】 韓国における日本語学習者のデータを収集することができ、JFLとJSLの習得状況のデータベースを作成した。また、自然習得学習者の縦断的調査を1年間行った。
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