研究初年度の調査結果によって得られた新たな知見は以下の通りである。 1)日系ブラジル人の敬語は確実に「デス」「マス」形式に集約されつつある。 2)動詞「食べる」の尊敬動詞「召し上がる」の喪失を補うため、類推可能な「〜レル」「〜ラレル」の「食べられますか」が2世によって使用されている。 3)「オ〜デス」の「お帰りですか」より、「〜ラレル」の「帰られましたか」のほうがよく使用されるのは1世の多くが西日本出身であることと関係があるようである。 4)終助詞「ね」は敬語の喪失にともなって形成された聞き手に対する敬語(丁寧語)としての機能を果している。ポルトガル語の“ne"の干渉も受けている。 5)6)「お〜」「ご〜」の使用について、「お金」「お寺」などに性差がネイティブに比べて見られない。 「お〜」「ご〜」の使用についてネ-ティブより使用率が高い。
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