研究概要 |
構成要素の1つである誤り診断処理方式については, Lexical Tree Adjoining Grammar(LTAG)に基づく方式を提案し,試作を行った. 学習者には,作るべき文の意味的なかかり関係を,画像や母国語で学習者に伝えた上で作文を行わせるものとし,システムは,その意味表現を持って,学習者の作文を解析し,局所的に表層表現を生成しながら,余分なかかりの可能性,かかりの不足や障害,交差かかり,活用や接続辞の誤りなどを指摘することができた. もう一つの構成要素として,教師あるいはコンピュータによるこうした誤りの指摘や発話の状況に応じた学習項目(日語教育である程度合意されている)を手がかりとして,例文を検索するシステムを開発した. まず,各学習項目に該当する例文が持つ特徴として形態素解析の結果が与える語と形態素種を用いる手法を試みた.その結果,自立語の概念に依存する学習項目については.検索の精度が低いという問題点が見いだされた.そこで,次に概念辞書を用いて,形態素情報と概念情報を組みあわせた抽出手法の有効性を検証するために,実際にコーパスを用いた抽出実験を行ない,概念辞書における概念の多価性に基づく曖昧性の解決を人手で行いながら,教師つきの確率的学習を行わせ,確率に基づいた帰属判定を行い,精度が向上することを確認した.このあいまい性の解決の自動化が,最近研究が盛んな何らかの方法で実現されればこの方法は極めて有効であることが明らかとなった. 今回,インターフェイスについては,十分な検討を行う余裕がなかったが,2つの構成要素の開発が大幅に進展したので,以後,インターフェイスの研究にも力点をおいて開発を継続する.
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