本研究では、理工系で学ぶ留学生と日本人学生の科学技術日本語プロジェクト授業における日本語でのコミュニケーションデータを収集し、以下のように研究を進めている。 1.「金沢工業大学日本語教育特別プログラム」にて、プロジェクト授業(テーマ=ウィンドカ-製作)を計画。 2.このプロジェクトで必要と予想される操作用語や状態描写表現、数学表現など専門用語以外の表現を抽出し、表現リストを作成、指導するための授業案を用意した。 3.この授業で、留学生とペアになる日本人学生に協力を依頼し(留学生と同数=12名)、留学生1名と日本人学生1名でチームを編成した。 4.留学生(日本語初級後半〜中級後半レベル)に対して、実際のプロジェクト活動の前に、2.でリストアップされた表現を学習する授業(3コマ:1コマ=75分)を実施。続いて、留学生と日本人学生がペアになって作業をする実際のプロジェクト授業を合計18コマ実施した。 5.18コマの授業全体を設計段階と製作作業段階にわけて、留学生-日本人学生ペア10組の作業中におけるコミュニケーションの様子を、各回およそ10分程度ずつビデオカメラで撮影した。 6.撮影したビデオテープから音声部分を書き起こし文字データを作成した。この際、図を描いたり、身振り手振りを使用したりした場面はその都度記録に加えた。 7.データの分析において、日本語の言語機能面(提案する、合意する、説明するなど)と各表現を分類するために、どのような基準を用いるべきか検討した。 8.現在、7.の基準にもとづいて、ビデオ録画および文字化資料の分析に取り組んでいる。
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