研究概要 |
本研究では,日本語クラスの参加者相互のコミュニケーション行動に対する評価が、各々の評価の枠組みの変容,及び教室内秩序形成にどのような影響を及ぼしているかという観点で,教室内異文化間コミュニケーションについて調査・分析を行った。国立大学の留学生センターで開講している多文化多言語の学習者が混在する日本語クラス調査対象として,以下のデータを得た。 (1)学習者の言語学習に関する信念のデータ:BALLI(Horwitz1987)による調査 (2)学習者の教室活動への参加意識と行動に関する内省データ:インタビュー調査 (3)学習者の対人接触場面の意識と行動および教師観・学習観に関するデータ:アンケート調査 (4)学習者の異文化接触体験・異文化に対する意識に関するデータ:課題作文 (5)教師の意識,評価の視点に関するデータ:当該クラス担当教師の授業引継ぎ会合の録音記録 上記のデータをもとに,学習者については,自己および他者の行動様式の違いに関する意識化された観点,教室内秩序についての規範意識,自己の規範意識に合わない他者の行動に対する態度,教師については,自己の教室内秩序についての規範意識,学習者の行動に対する評価の観点という側面から分析を行った。分析結果を,「学習者の視点から見た日本語のクラス」と「複数の視点から見た日本語クラス」の2つの視点から報告書にまとめた。 また,コミュニケーションに関する先行研究文献,インターネットのホームページの情報を収集・整理し,資料とした。
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