研究課題/領域番号 |
09680309
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
齋藤 堯幸 東京工業大学, 大学院・社会理工学研究科, 教授 (70113561)
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研究分担者 |
河合 眞 昭和大学, 医学部, 講師 (30138474)
行広 隆次 京都学園大学, 人間文化学部, 講師 (60240628)
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キーワード | 特別養護老人ホーム / 痴呆老人病棟 / 日常生活動作 / 日常生活行動 / 生活の質 / 計量化 / 多変量解析 / 高齢者 |
研究概要 |
本研究では、生活の質(QOL)を総合的に評価するために、QOLに連関する3群からなる19項目によって測定された臨床データを計量化とその医学的解釈に基礎をおく方針をとる。項目は、QOLに関する9項目、ADL(日常生活動作)に関する9項目、知的機能水準(痴呆の尺度)を測る1項目からなる。データに多変解析を適用し、空間構造やクラスター構造の基礎的な結果が、前年度までに導出された。今年度はその結果を詳細に検討し、各期に共通するサンプルの経時的な変化に依拠する分析と、各期ごとのサンプルに関する分析を、それぞれ別個に新しく行った。その結果、全体に共通する知見(a)、共通サンプルに関する知見(b)、観測時期に依存する知見を得た。それに関して統計的な議論(共通点、安定性、偏り、変動要因)を検討した。空間構造の次元軸をQOLの総合的な尺度とする妥当性は少ないことが判明した。その理由により、クラスター構造を参照して、3つの試案からなる総合的な指標を構築した(第1案は14指標、第2案は13指標、第3案は13指標からなる)。各試案に共通する4指標は、知的機能や人物誤認に関する知的指標、着脱衣や食事および入浴に関する衣食住の介護指標、視力や聴力に関する感覚障害指標、異常行為や徘徊に関する異常行動指標である。指標の利用法として、患者のQOLの総合的な把握、病棟(施設)の介護の負担度の評定、医学的検討のための情報計量などが挙げられる。なお本研究の基礎データが、痴呆老人病棟の臨床データである点を考慮すると、指標を適用する範囲は、痴呆老人病棟の入院患者とするのが妥当である。なおQOL測定に関連して、治療的働きかけ(音楽療法など)の効果を計量的に検討し、有用な知見を得た。
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