分散システムにおける通信の耐故障性と機密性に関する研究

1997 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 09680325
• 研究種目: 基盤研究(C)
• 研究機関: 群馬大学
• 研究代表者: 五十嵐 善英 群馬大学, 工学部, 教授 (60006260)
• 研究分担者: 西谷 泰昭 群馬大学, 工学部, 助教授 (60198463)
• キーワード: 分散システム / 耐故障性 / 情報セキュリティ / ブロードキャスト / メッセージ分配 / 秘密共有 / 独立全域木

研究概要

分散ネットワークシステムにおける耐故障性ブロードキャスト、安全なメッセージ分配、情報セキュリティの研究等を行なった。ブロードキャストは情報源のプロセッサからの同じメッセージをネットワーク上ですべてのプロセッサに送る操作である。メッセージ分散は、情報源のプロセッサからの目的地により異なるメッセージをネットワーク上のすべてのプロセッサに分配する操作である。これらは分散アルゴリズムの基本操作として頻繁に用いられ重要である。ブロードキャストでは耐故障性を、メッセージ分配では安全性を考慮した通信方式を設計し、それらの効率、耐故障性、安全性の解析を行なった。これらの目的のための通信路として、情報源のプロセッサを根とする分散ネットワークの独立全域木を用いた。根からネットワークの各プロセッサへの経路としてそれぞれの全域木上の経路を選べば、これらが両端のプロセッサを除いて共有部分がないとき、これらの全域木の集合は独立であるという。この方式で耐故障性や安全性を高くするためには、できるだけ多くの独立全域木を用意する必要がある。いくつかのネットワークのクラスについて、できるだけ多くの独立全域木を構成する方法を提案した。耐故障性のブロードキャストでは、この方式が通信量に関して最適である。メッセージ分配の安全性を高くするために、秘密共有や誤り訂正符号の手法を用いて元のメッセージを変換分割し、これらを独立全域木上の経路で分配する。これらの研究成果はいくつかの国際会議および電子情報通信学会の研究会で発表し、学術雑誌にも投稿し掲載が決定している。最近は共有メモリーモデル上の相互排他問題に取り組みはじめた。相互排他問題は分散システムのオペレーティングシステムの基本問題として重要である。この問題についても、研究成果がでたので、情報処理学会の研究会での発表を予定している。

研究成果

• [文献書誌] F.Bao,: "Average competitive ratios of on-line spannig trees" Information Processing Letters. 62,4. 213-216 (1997)
• [文献書誌] F.Bao,: "Generalized independent spanning trees and reliable broadcasting" 電子情報通信学会技術研究報告Comp97. 97,157. 49-50 (1997)
• [文献書誌] Y.Iwasaki,: "Independent spanning trees of chordal ring" Lecture Notes in Computer Science. 1276. 431-440 (1997)
• [文献書誌] Y.Igarashi,: "Reliable and secure communications in distributed Systems" 16th International Symposium on Mathematical. 16. 131-131 (1997)
• [文献書誌] F.Bao,: "Modified finite automata public key cryptosystem" 1997 Information Secrity Work shop. 1. 41-50 (1997)
• [文献書誌] F.Bao: "Secure message distrbution in channel networks" 電子情報通信学会技術研究報告Comp 97. 97,356. 9-16 (1997)
• [文献書誌] 五十嵐善英: "アルゴリズムの基礎" コロナ社, 250 (1997)