研究概要 |
組合せ最適化問題のうちで,先ず,重みなしグラフの最大クリークを効率よく抽出するアルゴリズムを開発した。このアルゴリズムは,深さ優先探索による分枝限定手法を基本としている。本研究では,分枝限定のために高速な近似彩色を用い,かつその分枝限定処理に要する時間と効果とのバランスを適切に設定してその効率化を達成し,その評価実験を行い,他のアルゴリズムに比べて格段に高速であることを確認した。続いて,重みなしグラフにおける近似最大クリークを効率良く抽出するアルゴリズムも開発し,その有効性の実験的評価を与えた。また,重み付きグラフにおける最大重みクリーク抽出アルゴリズムも開発し,従来の他のアルゴリズムよりも非常に効率的であることを実験的に確認した。更に,グラフ中の極大クリークを全て抽出するアルゴリズムも完成させ,他のアルゴリズムと実験的な比較評価を行い,非常に高速であることを示した。 次に,重みなしグラフの近似最大クリーク抽出アルゴリズムを改良し,それを基として,節点をできるだけ少ない色数で彩色する確率アルゴリズムとハイブリッドアルゴリズムを開発し,ランダムグラフ及びいくつかの特殊グラフに対して,その高効率性を実験的に評価した。更に,グラフの節点彩色を厳密最小数で行う分枝限定アルゴリズムを開発し,その高速性を実験的に確認した。 以上の他の組合せ最適化問題として,巡回セールスマン問題も取り上げ,それに対して近似最大クリーク抽出のための確率アルゴリズムの主要概念と遺伝的アルゴリズムを適用することによって,効率的なアルゴリズムを開発した。また,Dominating Set問題にについても,それを解く効率的な分枝限定アルゴリズムを開発した。更に,これまでに開発した組合せ最適化手法を応用することにより,RNAの二次構造予測アルゴリズムを開発し,その有効性をシミュレーション実験により確認した。 この他,以上の組合せ最適化問題の概念を活用することにより,学習理論に関するいくつかの新しい知見及び応用結果も得た。
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