研究概要 |
本研究では,C言語などのプログラムからデータパスと制御系自動合成する高位合成システムの中でも,モデムや動画像・音声の圧縮処理などのように,長く複雑な制御が必要な応用に対して低コストで高速な回路を合成できるシステムの開発を目的に,その基礎的な技術の研究を行なった.本年度は,試作システムの開発,問題点の検討を行ない,下記の成果を得た. 1. 高位合成システムの試作 高位合成システムの試作を行なった.入力はC言語のサブセットで,合成した回路はVHDLの形で出力される.このVHDL記述は研究室現有の論理合成,自動配置配線ツールでレイアウトに変換できる.実際に,楕円フィルタ,エッジ検出フィルタ,MPEG音声サブバンド合成部に対して適用を行ない,合成時間,回路品質の評価を行なった.処理時間は短いが,回路の転送経路が大きくなる,有限状態機械制御にすると制御回路が大きくなるなどの問題点が見つかった. 2. 合成手法の検討 与えられたプログラムによっては,転送経路と制御回路が大きくなり実用的な回路が合成できない,という問題点を解決する一方法として,演算資源と転送経路を設計者が与えて,制御を合成する方法について検討を行ない,具体的なアルゴリズムをいくつか考案した.このような合成システムは,プロセッサ可変のコンパイラである「リターゲッタブル・コンパイラ」とも見ることができる.従来から開発されているコンパイラに比べ,複雑なデータパスに対してもコードを生成する必要があるが,これを解決するため,本研究では特に演算の演算器への割当て(パインディング)について複数のアルゴリズムを考案した.
|