研究概要 |
自律分散ロボットシステムでは,残りのロボットの動作を集中制御するための特別なロボットをおかず,それぞれのロボットは,他のロボットの動作を観察し,その状況に適した自分の動作を自律的に決定することでシステム全体としてある目的を達成する.本研究では整列したロボット群を隊形を変えずに決められた地点に移動させる隊列移動問題を検討する.一群のロボットが編隊を組んで整然と移動する問題は基本的な協調問題であり,軍および民間の両方に重要な応用があるが,複数のロボットが共同である物体を運搬する協調搬送問題を重要な応用の一つとして研究の視野に入れている. 本研究の目的は,隊列移動問題を解く分散アルゴリズムを設計し,それを理化学研究所が製作した全方向移動ロボットに実装し,実際に複数台のロボットを動作させて,協調搬送を実現することであり,二年計画で実施されている.初年度である本年度は,二台のロボットが長尺物の先端を持ち,これを最小時間で運搬する協調搬送問題を考察し,以下の成果を得た. 1.長尺物協調搬送分散アルゴリズムの設計とシミュレーションによる評価-単純なシミュレーションモデルの下ではあるが,最適軌道を最適制御の理論を用いて複雑な解析を行なって計算しなくとも,単純な分散協調アルゴリズムによって最適軌道に十分近い軌道を通って物体を運搬できることを実証した. 2.1.のアルゴリズムを全方向移動ロボットに実装するためのマルチリンクの設計と製作-二台の自律的に動作するロボットに長尺物を無理なく協調搬送させるためのマルチリンクとよばれる仕組みを考察した. 3.1.のアルゴリズムを2.のロボットに実装したときの動作を正確に模倣するためのシミュレーションモデルの提案とシミュレータの作成
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