研究概要 |
従来,ファイル圧縮の目的は二次記憶領域の効率的利用にあった.したがって,現在広く使われている圧縮法は,圧縮率を第1の基準として選定されたものである.本研究では,この発想を大きく転換し,パターン照合の高速化を図るためにファイル圧縮を行うものと考える.そこで,本研究では,既存の圧縮方式にこだわらず,新しい圧縮方式を提唱し,そのもとでの高速パターン照合アルゴリズムを開発する.本研究により,データ圧縮の分野のみならず,パターン照合を初めとするテキスト処理の分野に,実用性の高い研究課題を提供することに繋がり,当該分野の研究の発展にも貢献することができる.本年度は,以下の研究成果を得た. (1)UNIX標準の圧縮プログラムであるCompressで使用されているLZW圧縮法に関して,複数パターン照合アルゴリズムを開発した. (2)上記(1)のアルゴリズムを実働化し,復号したのちに照合する従来手法と比べ2倍程度高速になることを実証した. 以上の成果をまとめた論文が,1998年の3月末に米国で開催される予定のデータ圧縮に関する最も権威ある国際会議(DCC)に採択されており,この会議に出席して研究成果を発表する予定である.
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