研究概要 |
既存物体にもとづいて,その特徴をとらえた上で,形状モデリングを行うアルゴリズムを開発した。開発の順序とその概要を下記に記す。 ◇回転対称性の検出:測定点から物体の重心位置を推定し,その重心を通る任意の直線を基準軸として,測定点を円柱座標に変換する。円柱座標をプロットし,点集合の輪郭線を求めて,その周期性から,回転対称軸を決定する。 ◇回転対称性を利用した形状モデリング:決定した回転対称軸を利用して,各測定点にパラメータ値を与え,測定点を近似する曲面パッチ群を決定する。 ◇面対称性の検出:測定点から物体の重心位置を推定し,その重心を通る任意の平面を選択する。測定点の輪郭面をその平面で切断し,切断面の対称性を求める。そのために,切断面の重心を通る直線を物体の重心周りに回転させ,直線と切断面との交線の長さの極値を検出する。 ◇物体の特徴を考慮したモデリング手法の開発:物体の対称性,非対称性や,さらにその他の規則性を考慮した形状モデリング法として,フラクタル曲面とスプライン曲面の特徴(すなわち,スケーリング方向の規則性と空間方向の規則性)を併せ持つWrinkly曲面を開発した。 さらにこれらのアルゴリズムの有効性の確認を行った。今後は,中心部に穴があったり,いくつかの対称性を併せ持つ,さらに複雑な物体に対して,重心位置の推定法の改良を含め,動作の安定性の確認を行い,また,さらなる計算量の削減を試みる予定である。
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