研究概要 |
ソフトウェアコンポーネントのインタフェース定義言語IDLを拡張し,インタフェースの意味を表わす動的挙動,コンポーネントを組み合せて実行する際のコンテキストならびにコンポーネントの電子商取引の情報を統一して記述できる言語SCL(Software specification and Commerce Language)を提案し,その言語仕様を設計した. コンポーネントの互換性においては,コンポーネントを取り巻くオブジェクトの相互作用が重要な働きをしている点に着目し,SCLの言語設計に複数のオブジェクトから成るコンポーネントの静的構造と動的挙動を表わす方法としてデザインパターンの枠組みを適用する方法を提案した. ソフトウェアコンポーネントはインターネットで流通可能であるため,SCLをインターネット上のWebのページとして表現できるとコンポーネントの電子商取引など新たな応用が開ける.このため,SCLはWebの記述言語であるHTMLを拡張した言語仕様とし,Web上で表現できるようにした.SCLを手作業でコーディングすることは生産性と品質の面から好ましくないので,Web上でGUI形式のメニューからSCLを生成するSCLエディタのプロトタイプを開発した.実際に,23個のデザインパターンをSCLで記述する実験を行い,手作業に比べ2倍以上の生産性の向上を確認した. さらに,動的挙動の細部は実行環境などの影響を受けることから,仕様記述言語で表現するには限界があるため,インターネット上でコンポーネントを遠隔試行可能なコンポーネントプレイヤの概念を提案し,Java Beansを対象とするプロトタイプを開発した. SCLとIDLや他のアーキテクチャ記述言語の仕様をインタフェース定義の記述能力の点で比較評価し,これらの言語より高い記述能力があることを確認した.
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