本年度は、以下のリアルタイムスケジューリング手法について検討し、実際にそれらを実現するソフトウェアを開発してシミュレーションによる評価を行った。また、その結果の一部を学会誌の解説論文に掲載した。さらに、全体を学会の論文誌に投稿中である 1.タイミング制約と資源制約を考慮したスケジューリング手法 本研究では、ハードデッドライン環境におけるリアルタイムスケジューリング手法について検討した。特に、デッドライン、タスクの先行制約などのタイミング制約のみならず、プロセッサ、ディスク、メモリなどの資源制約を同時に満足させるスケジューリング手法を開発し、その有効性を示した。 2.end-to-endのタイミング制約が課せられた分散実時間システムのためのスケジューリング手法 本研究では、ジッタ制約やend-to-endのタイミング制約を含む様々な制約が課せられた分散実時間システムのためのスケジューリング手について検討した。従来は、複雑なタイミング制約が課せられたスケジューリング問題を解くために、後戻りを伴う探索や焼き鈍しなどが用いられてきた。ところが、これらの手法には多大な計算を必要とするという問題がある。本研究では、ヒューリスティックを用いたスケジューリング手法を考案し、後戻りを行わずにスケジュールを生成することによって、この問題を解決している。本手法は、プロセッサのスケジューリングに対して与えることができる制約条件が、ネットワークのスケジューリングに対しても与えることができるという特徴を持つ。本研究では、シミュレーションによる評価によって、本手法が高いスケジューリング能力を備えつつ、効率的にスケジューリングが行えることを示した。
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