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1998 年度 実績報告書

マルチエージェント・アプローチによる外国為替市場のモデルの構築と分析

研究課題

研究課題/領域番号 09680353
研究機関東京大学

研究代表者

大勝 孝司  東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (80011120)

研究分担者 植田 一博  東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助手 (60262101)
キーワード外国為替市場 / マルチエージェント・システム / 実験経済学 / 人工市場 / フィールドワーク / 創発現象
研究概要

本研究では,マルチエージェント・アプローチに基づき,人工市場モデルという新しいエージェントベースの外国為替市場のモデルを構築した.具体的には,フィールドワークより明らかになったディーラーの学習の特徴を考慮し,遺伝的アルゴリズムと呼ばれるコンピュータアルゴリズムを用いて,生物の進化過程との類似性から,各ディーラーの予想方式の変化を記述する市場モデルを,計算機上に実装した.
次に,為替レートの動きは,比較的変動が激しい時期(バブル相)と変動が小さい時期(フラット相)に分れることに注目し,本モデルの計算機シミュレーションの結果より,上記の2つの相の間の転移のメカニズムの解明を行った.その結果,上記の相転移は市場参加者のチャートトレンドに対する同調行動と意見の強い収束によって説明できた.
本モデルによってメカニズムが明らかにされた相転移の概念を基に,既存の理論ではうまく説明できなかった現実の市場における3つの創発的現象を解明することに成功した.為替レートの変動と取引高の間に負の相関が存在することは,それぞれの時期において両者の大小が逆の関係であることから説明できた.レート変動の頻度分布が正規分布に比べて有意に鋭く裾が厚いという特徴は,二つの時期の頻度分布の重ね合せから説明できた.最後に,市場の予想が収束しすぎるとかえってレートは予想の方向に動かないというコントラリーオピニオン現象は,予想の強収束とそれに伴う反対側の注文の不足から生じることが分った.
このように,本研究では,統計学的もしくは経験的に指摘されていた為替レートの創発的な現象を,ミクロなレベルとマクロなレベルの関係に注目して,そのメカニズムの提唱を行うことができた.

  • 研究成果

    (5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] 和泉 潔,植田一博: "コンピュータの中の市場:認知機構をもつエージェントからなる人工市場の構築とその評価" 認知科学. 6・1. (1999)

  • [文献書誌] Izumi,K.& Ueda,K.: "Analysis of Dealers' Processing Financial News Based on an Artificial" Journal of Computational Intelligence in Finance. (1999)

  • [文献書誌] Izumi,K.& Ueda,K.: "Emergent Phenomena in a Foreign Exchange Market : Analysis Based on an Artificial Market Approach" Proceedings of Artificial Life VI. 398-402 (1998)

  • [文献書誌] Izumi,K.Ueda,K.,Nakanishi,M.,& Okatsu,T.: "A Multigent Model of a Foreign Exchange Market" Preprints of Computational Symposium on Computation,in Economics,Finance and Engineering. 146-151 (1998)

  • [文献書誌] 植田一博,小島琢矢,和泉 潔: "学習アルゴリズムとその問題解決モデルへの応用:生物メカニズムからのアナロジーと中心として" Brain Medical. 10・1. 69-77 (1998)

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公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

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