研究概要 |
本研究では,セル状人工神経回路網(Artificial Cellular Neural Networks;以下ACNNと略記する)と称する,神経細胞に相当するユニットがその近傍のユニットだけに接続されているタイプの神経回路網について検討している.本年度の研究実績を次に示す. 1.2次元ACNNの進化的最適化法の確立:ユニットを2次元格子状に配列した構造をもつ2D・ACNNのユニット間結合荷重(1:興奮性、-1:抑制性,0:結合なし)を扱う問題に適したものになるよう遺伝的アルゴニズムにより最適化する基本手法を開発した.特に交叉・突然変異について検討した. 2.3次元ACNNの進化的最適法の確立:2D・ACNNの最適化法を3次元に拡張することにより,ユニットを3次元格子状に配列した3D・ACNNの最適化法を確立した. 3.2D・ACNNおよび3D・ACNNの有効性の検討:ACNNを入出力フィルタ仮想的な無限平面上の追跡問題に適用してその有効性を検証した.その結果,従来の神経回路網では実現困難な高度な情報処理を実現することができた. 4.ACNNの静的・動的特性の理論的解析:各ユニットの発火確率をもとに,ACNNの情報処理能力を最大限に引き出すための条件を理論的に導出し,シミュレーションによってその妥当性を確認した. これらの研究成果の一部は,これまでに国際会議あるいは国内の学会などにおいて公表しており,世界的に注目されている.
|