研究課題/領域番号 |
09680363
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
北澤 茂良 静岡大学, 情報学部, 教授 (00109018)
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研究分担者 |
田中 勝 静岡大学, 情報学部, 助手 (80236637)
北村 達也 静岡大学, 情報学部, 助手 (60293594)
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キーワード | 人工内耳 / 聴覚モデル / 音響シミュレーション / 音声の符号化 |
研究概要 |
聴覚末梢系の数理モデルを逆変換する。Meddisの神経伝達物質に基づく内有毛細胞モデルを基礎として神経伝達物質に関して逆問題を解くことによって蝸牛での非線形飽和特性の逆変換を実現した。本年度は、逆Meddisモデルにおいては、小振幅・大振幅のいずれの入力に対しても入力に対しても安定に聴覚モデル出力から原入力音を高精度に再現することができるようになった。MATLABおよびMathematicaで実現した。この研究成果についてEuroSpeech'97で研究発表を行った。 音声波の人工内耳電極パルスへの効率的な変換のための音声符号化法の原理に基づく効率的多チャンネルパルス化アルゴリズムを改良した。この問題では所与のフィルターセットについて最適な組み合わせ系列を求める問題に帰着できる。このときフィルターセットを符号とする正負のパルス系列が圧縮音声情報として得られ、これを人工内耳の電極パルスに対応づける。符号化復号化(分析合成)によって符号化の聴感品質を評価したところ、低域に比べて相対的にエネルギーが小さい高域成分が分析過程で脱落して不足していることがわかった。音声符号化法では聴感重み付けが聴感品質の改善に重要な役割を果している。人工内耳の多チャンネルパルス化アルゴリズムに聴感重み付けをいかに効果的に導入するかが大きな問題である。本年明らかになったことは、聴感重み付けを除いたところ、正常なスペクトル特性がフォルマントとして抽出されてた。しかし、分析合成音の品質は改善されず、分析フレーム内で最初に選択されたチャネルについて1回だけ聴感重み付けしたほうが聴感上の音質は優れていた。チャネルが選択される毎にそのチャネルの聴感重み付けを重ねる方式は、巡回型フィルターを何段も重ねることになるため、結果的に発散してしまうことが分かった。聴感重み付けがスペクトル特性の抽出に重要な役割を果たしていることがわかり、更によりよい方式を求める必要がある。
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