研究概要 |
本研究の目的は,不規則性を有する複数のテクスチャ領域から構成される1枚のテクスチャ画像の領域分割問題を組み合わせ最適化問題と捉え,遺伝的アルゴリズム(Genetic Algorithm:GA)による最適化手法を応用することにより,矩形小領域に分割された1枚のテクスチャ画像における個々のテクスチャ領域の組み合わせ最適化を行なう領域分割手法の開発である.この手法は,スプリット・マージ法とは異なり,小領域の特徴量の等質性を判断する関数の定式化を必要とせず,分割された個々の領域における特徴量の分散の全領域での合計が最小となるように小領域を組み合わせることにより領域分割を行なおうとするものである.本手法は,GAの特徴である確率的かつ効率的な逐次的解探索を用いているため,局所解に収束することがなく,ニューラルネットワークなどと異って,領域分割精度が分類機構の精度やロバスト性に依存することがないという特徴を持っており,数値実験の結果,高い分割精度を得ている.また,GAによる領域分割法は多くの処理時間を必要とするため,その処理の高速化と最適な領域分割個数を自動的に決定する方法にニューラルネットワークを適用する方法を開発し,良好な結果を得ている.また,遺伝的アルゴリズムを用いたテクスチャエッジの検出法の提案も行っており,良い結果を得ている.さらに,ピラミット・リンキング法とニューラルネットワークを用い,等質性を判定する関数の定式化を必要とせず,しかもロバスト性を有する領域分割法も新しく提案しており,期待通りの結果を得ている.また,この手法に,本研究で新しく開発した多重閾値による2値画像系列から抽出した特徴量を適用した領域分割手法を提案し,良好な結果を得ている. これらの結果は,10年度に論文誌に3編(内印刷中2編),国際学会に4編採録されている.
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