研究概要 |
1.語彙の共起制約を包含する文脈自由文法の構成法 統語範疇(品詞)に基づく自然言語の句構造文法を,(統語範疇,head word,function word)の3組に基づく句構造文法に組み変えることにより,統語範疇の構造制約と語彙の共起制約の両方を満足する文脈自由文法の構成法を提案した.ここで,語彙の共起制約とは語の係り受け関係と文節における付属語の連接条件を指している. この研究成果は,従来難しいときれてきた,語彙の共起制約の句構造文法への組込み法を与えた点で評価に値する成果である. 2.語彙の共起制約の集約化 (統語範疇,head word,function word)の3組を新しい統語範躊として句構造文法を構成すると文法規則の数が膨大になることを抑えるため,head wordを語のシソ-ラスにおける上位語に制限する.しかし,head wordの領域制限は語彙の共起制約の過剰な単純化を意味し,非文を生成することによる曖昧さの増大を招来する.そこで,事例コーパスに現れる語彙の共起制約の統計的な特徴を,確率句構造文法の確率パラメタに吸収することにより,曖昧さの増大に対処することを提案し,これを実現するためのパラメタ推定法を与えた. 3.小規模事例コーパスによる確率パラメタ推定法 小規模事例コーパスを用いて確率文法の確率パラメタ(書換え規則の適用確率)を最尤推定法により推定すると,多くの書換え規則の適用確率が0になってしまい,したがって統語解析不能な文が大量に発生する.この問題に対処するため,書換え規則の適用確率を一定値以上に制限した確率文法モデル上で最尤推定する推定式を与えた.
|