研究課題/領域番号 |
09680375
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研究機関 | 広島市立大学 |
研究代表者 |
大槻 説乎 広島市立大学, 情報科学部, 教授 (70037745)
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研究分担者 |
岩根 典之 広島市立大学, 情報科学部, 助教授 (60264933)
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キーワード | マルチエージェント / グループ学習支援 / 知識の共有 / ITS / 疑似学習者 / グループモデル / 討論支援 |
研究概要 |
因果関係が明確な領域を対象として、コンピュータを用いて仮説実験学習を行う場合の知的支援環境をマルチエージェントモデルによって構成する方法について研究を行った。学習者1人につき1個のエージェント(疑似学習者)を構成し、エージェントの機能としてITSによる支援機能を用いる。すなわち、全ての疑似学習者が教材知識を共有し、個々の疑似学習者は、この教材知識を用いて担当する学習者の発言を解釈し、誤り原因同定を行い学習者モデルを構成する。 学習者は個人ウインドウ上に発言する。また、全ての学習者は共有ウインドウを持ち、個人ウインドウを通して発言を行う。学習者の発言はウインドウ上に表示され、原因-結果の因果関係、矛盾、孤立、等の論理的な関係を示す矢印で構成したネット上のノードを構成する。個人ウインドウ上のネットは学習者の推論過程を表現し、推論モデルとして保存される。共有ウインドウ上のネットはグループ討論の構造を表現し、討論モデルと名付ける内部表現で保存する。 全ての学習者モデルの正しい部分の和集合はそのグループで正しく推論することができる範囲を示しており、教材知識とこの和集合の差集合はそのグループに欠落している知識を表わすので、和集合と欠落知識を合わせてグループモデルと呼ぶ。 システムには疑似学習者のほかにモデレータが一個いて、疑似学習者から送られる学習者モデルからグループモデルを生成し、欠落知識で討論が行き詰まった場合に発言する。グループモデルのなかに欠落知識がない場合は、この領域のすべての話題に対して学習者の誰かが正しい推論を行うことができるので、行き詰まったり、間違ったりした場合の軌道修正ができる。この様な状態を適応的なグループと呼び、活発な討論によって、全ての学習者が正しい知識を獲得する可能性がある。討論が活発でない場合は、良く分かっている学習者に、疑似学習者が質問することによって、正しい討論を喚起する。
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