研究概要 |
平成9年度における研究の主題は、識別問題(Classification problems)における特徴選択法(feature selection algorithm)の確立であった。効果的な特徴選択法においては、識別に貢献する重要な特徴群の発見と、これらの特徴に基づいた各類別概念(パターンクラス)の記述の一般性が、同時並行的に評価できなければならない。この目的のために、相対近隣グラフ(Relative Neighborhood Graph)および相互近隣グラフ(Mutual Neighborhood Graph)とよぶグラフの概念を利用してきたが、パターンクラスの相対的構造によっては、真に有用な特徴のみを選択することができない場合があった。今回、パターンクラス間の構造を捉えるクラス間相互近隣グラフ(Interclass Mutual Neighborhood Graph,IMNG)とよぶ新たなグラフを定義し、このグラフの性質を利用して、上記同時並行的評価が可能になった。この結果、パリティー問題(XOR問題)に冗長な特徴を付加した特徴選択問題など、特徴選択問題として難しいとされている各種問題に対しても、所望の能力が得られるようになった。今後、新アルゴリズムの高速化をはかるとともに、一般的なデータ・マイニングのエンジンの一つとして利用する考えである。
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