種々の論理ネットワークのエネルギー関数を特徴付けることが本研究の目的である。 1)二値の論理回路網の非同期動作に対するエネルギー関数の存在条件やその特徴付けについては、かなり明確になってきた。その結論は、エネルギー関数が存在するための必要十分条件は、論理回路網を高次の神経回路網として表現したとき、対称な重みを持つか、あるいは、そのような対称な回路網から簡単な関係によって導かれることである。 2)次いで、多値論理回路網モデルに関するエネルギー関数の存在について検討した。ここでは最初から一般的モデルを想定するのではなく、状態の変化は段階的で隣接する状態にのみ遷移できるとした。これは従来の神経回路網モデルの拡張にもなっている。即ち、各素子の次の状態を定めるには、まず、各素子に付随した状態関数により関数値を求め、その符号によって、高々1の状態変化を定める。我々はまず、多値状態関数がある標準的な多項式で表現されることを示し、その微分を定義した。この状態関数が多重線形であれば、非同期動作のもとでエネルギー関数が存在することがわかった。さらに多重線形の状態関数の次数の2でその重みが対称であるとき、同期動作の下で回路網の全域状態遷移の周期長は高々2であることも示した。これもある種のエネルギー関数の存在によるものである。このネットワークはInfluence systemと呼ばれ、集団の意見分布形成の簡単なモデルと考えられる。
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