平成9年度および平成10年度を通して得られた研究成果および研究活動の概要を以下のように項目別に記す。 (1) 全国の前方後円墳・前方後方墳・帆立貝式古墳のデータを再整理するとともに、新規に資料収集を実施した。とくに形態研究のための墳丘実測図の収集に重点をおいている。こうした調査研究の成果にもとづいて前方後円墳データベースを研究室設置のサーバ上に構築した。現在、電子化済みの一部地域について前方後円墳データベースをインターネットを介して試験公開中である(URLは下記の通り)。 http://www.ozlab.osakac.ac.jp/KOFUN/ (2) 前方後円墳の形態変化を分析するための基礎資料として、各地の主要古墳の7部位(墳丘長・後円部径・くびれ部幅・前方部幅・後円部高・くびれ部高・前方部高)の再計測を行った。これにもとづいて、統計的な変化傾向を一部地域について調べた。全国全域にわたる調査研究には至らなかった。一方、こうした調査研究の応用として、前方後円墳の復元形を生成する知識システムの構築に着手した。 (3) 前方後円墳データベースから自由に図形情報、画像情報、および地理情報を結合した形式で情報の抽出を可能にするための、マルチメディア・データベースのあり方に関する基礎的研究を行った。 (4) 前方後円墳の復元形を3次元映像として可視化するいわゆるビジュアライゼーション技法の改良の一環として、古代景観に出現するテクスチャの自動生成に関する研究を推進した。
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