ファジィ制御で使用されているファジィ規則は、従来、専門家の経験・勘に基づいて試行錯誤的に作成されるのが普通であったが、制御対象が複雑になり、入力・出力数が多くなると人間の経験的知識からだけではファジィ規則の作成は不可能なものとなり、ファジィ制御規則の自動獲得が急務となっている。 本研究で得られた成果は以下の通りである。 (1)提案した多入出力用の「ファジィシングルトン型推論法」を用いることにより、ファジィ規則の前件部、後件部および重みのチューニングをソフトコンピューティング手法によって行った。特に、ファジィクラスタリング手法を使うことによりファジィ規則の構成を行い、ファジィ推論の学習精度および収束時間の向上が得られた。 (2)ファジィ規則を構成するファジィ集合に距離の概念を導入することにより、「距離型ファジィ推論法」という従来とはまったく異なるファジィ推論法を提案し、ロバスト連想記憶アルゴリズム動的推論アルゴリズムなどを明らかにした。 (3)上記のファジィ推論に基づいたファジィ制御の概念をロボット制御に適用した。そのために、遺伝的アルゴリズムなど進化アルゴリズムを直接ハードウエアレベルで適応させることができる進化ハードウエアを用いて自律ロボットの制御を試み、満足すべき結果が得られた。この場合、遺伝的アルゴリズムの遺伝子として、木構造染色体コーディング法を新たに導入した。
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