研究概要 |
(1) これまでに製作した6色カメラを用いて,照明光の分光分布と物体表面の分光反射率を推定するためのカメラシステムとアルゴリズムを開発した.カメラシステムはモノクロCCDカメラ,標準レンズ,6種類のカラーフィルタ及びパソコンからなる.推定対象の物体としては2色性反射モデルで記述される不均質誘電体を想定する.今年度は,カメラシステムの改良,分光反射率推定法の改善,6次元カメラデータからハイライト領域を検出して画像処理するアルゴリズムの開発を行った. (2) ビジョンシステムの開発には多様な色をもつ光源が必要である.そこで広い色域において任意の色度をもつ連続的な分光分布を有する色光を生成させる方法を考案し,光源システムを試作した.この光源システムはハロゲンランプ,カラーフィルタ,拡散フィルタ,調光装置及び制御用パソコンからなる.色光生成の原理は三原色の加法混色に基づき,色再現域において任意の色度を有する色光を生成させることが可能である.この光源をコンピュータビジョンへ応用した.マルチバンドの6色カメラを用いれば,画像データから照明光の複雑な分光分布や色票の分光反射率が推定できることを示した.(3) 液晶チューナブルフィルタを用いたマルチチャンネルカメラシステムを試作した.このフィルタの原理は一種のLyotタイプの偏向干渉フィルタであり,しかも機械的部分がなく,中心波長が電子的に可変で,計算機で制御可能である.今年度は試作システムを用いた分光情報推定の試験をした.画像計測の安定性に問題があることがわかった.
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