研究概要 |
本年度は,目的とする「地形図画像からの高精度数値標高モデル自動作成システム」を実現する上で必要となる処理アルゴリズムの開発とその検証実験に主眼を置いて,次の2項目に関して研究を進めた。 (1)断線した等高線群を接続し直して,各等高線に標高値を自動付与する手法を開発する。 (2)標高値を持つ等高線群から各メッシュ点上の標高値を自動生成する補間手法を開発する。 まず(1)については,断線した等高線間の隣接関係を安定に抽出する画像処理手法として拡張ボロノイ線図による手法を新たに開発した。続いて,接続誤りの生じにくい等高線接続判定法として隣接関係グラフと基準等高線を利用した手法を新たに開発した。さらに,等高線の欠落部分をスプライン関数により高精度に接続する曲線生成法を開発した。また,外部から標高値を与えなければならない極小の等高線集合を効率的に決定する手法を開発した。そして,これら開発手法の本格的な検証実験も併せて実施し,1,024×1,024画素サイズの地形図画像を10分程度で処理できることを確認した。断線等高線の接続結果も極めて良好であった。 次に(2)については,人工地形DEM及び実地形DEMを用いて各種補間法の詳細な精度検証実験を実施した。検討対象とした補間法は,線形補間,直線3次スプライン,Akimmaの方法,平面3次スプライン,FFT補間,3次曲面当てはめ,などである。その結果,補間精度と処理時間の観点から,総合的には直線3次スプラインが最も適当な補間法であるという結論を得た。 今後は,システムの統合化と応用的なDEM処理アルゴリズムの開発にも着手したいと考えている。
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