研究概要 |
本年度においては,前年度までの研究成果を踏まえて研究を推進することで,目的とする「地形図画像からの高精度数値標高モデル自動作成システム」のパイロットモデルを開発することができた。 具体的には,以下に示す一連の計算機処理を実現した。すなわち,(1)地形図画像の入力,(2)等高線部分の抽出・ラベリング・細線化,(3)雑音成分の除去,(4)断線等高線の復元,(5)等高線への標高値の自動付与,(6)補間による等高線からの数値標高モデル(DEM)生成,である。この内,処理アルゴリズの開発が難しかったのは(4)と(6)である。まず(4)については,断線した等高線間の隣接関係を安定に抽出できる拡張ボロノイ線図法,基準等高線を利用した接続誤りの生じにくい等高線接続判定法,等高線の欠落部分をスプライン関数で高精度に接続する曲線生成法,などを新たに開発した。検証実験の結果,断線等高線が効果的に復元できることを確認した。次に(6)については,人工地形DEM及び実地形DEMを用いて各種補間法の詳細な精度検証実験を実施した。検討対象とした補間法は,線形福間,Akimmaの方法,直線3次スプライン,平面3次スプライン, FFT補間,3次多項式曲面当てはめ,モルフォロジー補間などである。検証実験の結果,補間精度と処理時間の観点から,総合的にはモルフォロジー補間とAkimmaの方法が最も欠点の少ない補間法であるという結論を得た。 現時点では,地形図を画像入力してDEMを自動生成するまでの一連の処理がパソコン上で手軽に実行可能となっている。今後は,本システムの一層の性能改善と実利用化を図って行きたいと考えている。
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