3次元エージェントアイコンの機能と認知性の関係を検討するために、まず、エージェントアイコンの絵柄のデザイン要素として具象性、機能性、立体性、複雑性の関係について実験した。個々のアイコンの絵柄と機能の認知性に関する実験と、絵柄間の心理的距離という新しい尺度による評価実験を行い、絵柄に関するそれぞれのデザイン要素軸に応じたデザイン指針を提案し、さらに、具象性、機能性、立体性、複雑性の独立した要素間の関係を考慮したアイコンを設計し、それらについてさらに実験を行い、認知性の高いエージェントアイコンのデザインガイドラインを新たに提案した。 次に、3次元エージェントアイコンの操作性に関する実験を行った。被験者に液晶シャッター式立体視眼鏡を装着させ、画面に提示された球形アイコンを6自由度のある3次元マウスを操作することでポイントさせるタスクを被験者に課した。その結果、アイコンの提示距離が長くなるに従い操作時間も長くなり、アイコンが大きくなるに伴い操作時間は短くなった。実験では奥行き方向の操作を行っているが、得られた結果は2次元空間でのポイント操作特性とよく似た傾向を示すことが検証された。また、操作軌跡と操作特性に関しては2次元におけるマウス操作とは異なり、ターゲット付近での細かなポイント修正操作が頻繁に見られたが、全体としてはFittsの法則がほぼ成立した。 また、仮想オブジェクト操作におけるオブジェクト位置推定法について検討し、カーソル位置からターゲットまでの距離と、カーソル位置を始点とし、ターゲット位置を終点とするベクトルの角度による評価関数を定義し、それらのパラメータの係数を変えた実験を行った。提案した推定法を使う方が、推定を行わない場合よりも早く正確にポイント操作が可能なことを示した。しかし、角度と距離のどちらのパラメータが推定に強く寄与しているかは、カーソルとターゲットとの位置関係により異なるため、被験者の操作モデルにあった推定方法をさらに検討しなければならない。
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