研究概要 |
本研究では,分子生物学分野のデータベースを素材として分散データベースを構成し,エージェントを用いた検索方式について,実際に試作して検討を行うことにより,必要とされる機能を明らかにする. 今年度は,オビジェクト指向の統合スキーマを作成し,利用者側からOQL(Object Query Language)でこの統合スキーマを用いた検索を行えるようにした.Genbank,prosite,Swiss-prot,PIR,およびPDBの各データベースそのものは米国や欧州にあるが,今回の試作ではそれぞれを研究室内のワークステーション(ネット-ワークで接続されている)に分散して作成し,各データベース側にデータベースエージェントを置いている.各データベースのデータベースエージェントは,MPI(Message Passing Interface)による通信を利用して使用者側のエージェントとの通信する. また,Agent Tclを用いたモバイルエージェントの仕組みを試作し,エージェントが,検索内容に応じて自律的に各データベースを回り関連するデータを集める方式について評価している.これらの詳細は,データベース・エンジニアリング・ワークショップ98(3月5日〜7日)で発表する. 来年度は,モバイルエージェントによる検索の仕組みの問題点をさらに追求し,改良を進める.また,複数のデータベースにアクセスする回数を減らすために,データベース間のクロスレファランス情報を導出してローカルのデータベースに保持する手法を考える.個々のデータベースで更新があれば,それを手元にクロスレファランスに反映させる必要があるが,アクティブデータベース機構を利用してインクリメンタルな自動更新を行う方式を検討する.
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