研究概要 |
知識の体系に照らして整理した文献情報を,伝統的な図書館の形態で利用でき,またネットワーク環境下でうまく機能する仮想的な場としての電子図書館の具体化を目指した。9年度は,(1)文献情報を概念的に扱う枠組みの定式化,(2)概念関係が反映された仮想空間を効率的かつ体感的にブラウジグンできる機構を提案,(3)ネットワーク環境下でも高速にブラウジングできるナビゲ-タの試作,を行った。 1について:質問や文献中の語間の概念的な関係を自然に反映しながら,質問と文献あるいは文献相互間の関連性が類似度として数量化できる方法を,概念学習における記述の一般化をもとに定式化した。その有効性についても,理論的・実験的な両面から確認した。類似度は仮想空間を作る基本となる。 2について:質問との類似度の大きさに従う文献のランキング法と文献同士の類似度の大きさに従うクラスタ化法の両者の利点を採り入れた文献の線形配置法を求め,その上での効率的なブラウジング法を定式化した。これらの有効性は実験的に確かめた。また,文献配置を3次元的な空間に表現し直すことで体感的なブラウジングのための仮想空間を作り上げた。 3について:2でのブラウジングがネットワーク環境下でもスムーズに行えるようなナビゲ-タを,VRMLを使って試作した。 10年度に残された課題としては,多量文献が扱えるよう拡張することである。これには,これまでに提案してきた階層化データ構造の考え方を用いて文献集合を部分ごとに管理し,部分仮想空間ごとのブラウジングを全体に繋げて行けるようなナビゲ-タを作ればよいと考えている。
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