研究概要 |
本研究の目的は,自然科学,社会科学,人文科学の各分野において,ネットワーク環境下に移行する中で,学術情報伝達メディアの役割の変容を明らかにしようとするものである。本年度は,全体の研究の基礎を固めるために,まず,この問題を扱った文献調査を行い,ネットワーク情報源の調査を行った。次に自然,社会,人文の各分野にかかわる文領域である心理学を対象として,各メディアの現状を調査し,6名の研究者に対してネットワーク及び電子的情報源の利用と研究の関わりに関する面接調査を行った。さらに,ここから得られた知見をもとに仮説を作成し,1238名の国内の心理学研究者に対する郵送調査を実施し,450名からの回答を得た。これと並行して,医学分野についても同様な面接調査と郵送調査を実施した。回答者のほぼ全員がインターネットを利用しているが,研究に最も影響を与えているのは電子メールであり,データベース検索にも使用されているものの,WWWの影響は乏しく,電子雑誌の利用は極めて少ない。コンピュータの利用に関しては,原稿作成やデータの分析,学会発表手段として不可欠のものとなっているなどの結果が得られた。
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