〈点字図書館・公共図書館の現状〉数館の訪問調査とアンケート調査を行った。点字図書館は、その機能を生活情報などを提供・支援するセンター的な役目に変わりつつある。公共図書館でも点字を扱うようになってきている事が伺える。 〈電子ファイルの利用〉墨字(一般の文字)・点字・録音の3種類について電子化したデータの利用状況を調査し、利用の方法などについで実験を行った。近年、点字よりも墨字や録音図書の要望が多いと言われているがそれを裏付けるように墨字を求めている。これは、点字よりも漢字の方が文字の情報量が多いことが主たる原因である。 〈新録音図書の研究〉全世界共通規格の新録音図書DAISYについて、利用状況やネットワーク利用の可能性について調査を行った。製作に非常に時間がかかる。ボランティア製作では不良率が大きい。などの問題点が明らかとなり、データベース化出来ないなど、今後の展開上問題となると思われる。また、マルチメディア対応規格のMPEGのAUDIO部分を利用して録音図書の利用の可能性を精査し、更に音楽データの配信実験を行った。結果は、データはDAISYより小さく、長時間収録が可能、また電子ウォークマンと言うべき電子式録音図書再生装置の利用は可搬性も非常によく、今後の展開が期待できる。音楽データ配信は、著作権問題が大きく事実上電子図書館では利用できないことが判明した。 〈ネットワーク利用の電子図書館〉墨字・点字・録音図書の各データをネットワーク上のサーバに収録し、様々な種類の端末から利用し、電子図書館の本来の利用方法について検討した。特に点字や墨字図書に関して、調査した視覚障害者の印象もよく、データの拡充が望まれる。また、著作権問題「データ送信可能化権」が、電子図書館構築に非常に大きな問題となることが懸念される。これらの成果は、筑波技術短期大学テクノレポート5と6にまとめた。成果の一部を日本教育情報学会第15回年会で発表予定である。
|