国文学における基本の研究活動である「多くの異本を比較対照する」ことを計算機上で行うために、研究アノテーションを使って異本の対応する所を特定する技法を開発した。 具体的な研究実施内容は以下の通り。 1. 9年度に作成したサンプルデータの不足分を補うため追加入力を行った。 2. これらを合わせたサンプルデータとツールを特定の研究者に試用、評価してもらった。 3. 1.の評価結果をもとにシステムを改造した。 4. 古文に特化した大量のテキストを分析するテキスト処理機能を開発した。 5. パソコン環境で複数モニターを利用する方法を検討した。 6. 国際会議にて研究成果の報告を行った。 これらの研究を通して、完全な翻刻テキストがあるのに比べ、荒々ではあってもより個人の興味、考察に沿った対応付けが行えたと考える。これにより、完全な翻刻テキストの完成を待たず、個人的な見地に沿った異本の比較が可能となった。 今後、以下の展開を行いたい。 1. 4で開発したテキスト処理機能を異本比較考証システムに組み込む。 2. 希望研究者にシステムを配布し、イメージデータ入力、研究アノテーション付けを行ってもらい、異本比較考証システムとして評価してもらう。 3. イメージデータ入力を行った原本の所蔵者に、world wide web上でデータを公開することの許諾をもらえるよう理解を求める。
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