本研究の基本的な狙いは、数理的モデルに基づく生産スケジューリング問題の解法開発に際して、(1)数理モデル作成の前段階である実際問題の整理結果の記述を形式化しデータベース化することによって、実際問題の整理を支援する技術を確立すること、そして、(2)それを数理モデルと結びつけるに際して実際問題と数理モデルの間の多対多の関係を許すような技術を確立して、数理モデル作成の支援を可能にすること、そして、(3)作成された数理モデルが既存のソルバープログラムで解くことが可能な場合にはそれを起動して当面の数値例を解けるようにすることによって、無駄な開発努力を省くこと、などである。(1)に対しては汎実体ー関連モデル(GERM)に基づく問題記述を提案しこれをデータベース化する方式を提案して昨年以来続けているプロトタイプシステムの開発は終了した。また、GERMによる問題記述によれば、最適化問題ばかりでなくシミュレーションの対象となる問題の記述も可能なことを発見し、経営情報学会にて研究報告した。(2)に関しては、数理モデルを純粋に数学的なオブジェクトとして定義し、これと対応する問題定義を「結合条件」と呼ぶ情報によって結びつける方式を確立し、プロトタイプシステムに組み込んだ。これらの成果はINFORMSの1998年の年次大会(米国シアトル市)にて報告した。(3)に関しては、問題の数値例を上記のプロトタイプシステムに組み込む方式を開発し、また、ソルバープログラムを起動する方式を開発した。現在、そのシステム開発の途上にある。1999年度は、(3)のシステム開発を完成し、システムインターフェースの改善方法を検討し、プロトタイプシステムに組み込む予定である。
|