研究概要 |
本研究は倉庫や支店の配送費削減だけでなく小売側の在庫コスト削減も考慮したより現実的なモデルを提案し、その解法を開発したものである。具体的には、まず配送計画問題を配送ルーと決定問題および配送スケジューリング問題に分類し、それぞれの問題において新しい解法を提案するとともに、配送平準化のもとでトータルコストが最小になるように両部分を統合した。配送ルート決定問題ではMinimum Spanning Tree法とSFC(Space Filling Curve)法を組み合わせた配送ルート決定方法を提案し、配送スケジューリング問題ではGAH(GeneralizedAssignment Heuristic)法を改良して配送グループを作成するとともに、各配送グループの配送日は提案法の配送平準化技法を用いて決めることにより、配送、在庫、および欠品のトータルコストを最小にすることができた。これらの研究は「需要の変動および配送平準化を考慮した多期間配送計画問題」というタイトルで日本経営工学会誌のVol.48,No.6,1998に掲載された。また、上記の研究では配送頻度を既知のものにしており、実務においては適正配送頻度も与える必要があるので、それに関する研究を行った。その結果は“A Research on Proper Length of Planning Horizon in Multiple Period Delivery Schedulling Problem"というタイトルで14th ICPR(International Conference on Production Research)の会議録(pp.1490-1493,1997年)に掲載された。さらに配送ルート決定問題においてはより質のよい解をより短い計算時間で計算する方法として自己組織化ニュラルネットを利用した解法を開発し、“Improving Self-organizing Neural Network to the Vehicle Routing Problem"というタイトルで学術雑誌IJIE雑誌に投稿中である。これらの研究に基づき、在庫コスト最小化および物流コスト最小化問題を、最.適配送頻度を求める部分と車両台数を最小にする組合せ最適化問題として定式化を行い、「在庫および物流コスト最小化の多期間配送計画問題」という論文を現在投稿準備中である。その他、関連研究としては納期延期を考慮した生産方式に関する研究(「納期延長を伴う注文の生産におけるプッシュ/プル生産方式の選択基準」のタイトルで現在経営工学会誌に投稿中)、定期的生産条件の下での納期延期を伴う需要の生産方式に関する研究(「定期的生産における納期延期を伴う需要の生産方式の選択問題」、日本経営工学会誌、Vol.48,No.6.1999)、製品ライフサイクルが短い需要に対するサプライチェーンモデルに関する研究(「革新的商品と瞬時対応型サプライチェーンモデルに関する研究」のタイトルで現在経営工学会誌に投稿中)、プッシュとプル方式を融合したハイブリット生産方式に関する研究(「納期延期を伴う需要のハイブリント生産方式について」、日本経営工学会平成10年度春季大会予稿集掲載)などがある。
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