研究概要 |
平成9年度の研究では,不完備情報の社会経済システムに対して,動的決定モデルの理論がどのように応用できるかを考えた。そのために,これまでに得られた結果を整理統合するとともに,関連する文献を収集・整理することに重点をおいた。また,社会経済システムに対する決定問題を,多段決定の問題としてとらえ数理モデル的に分析するとともに,基礎的性質についての検討を試みた。また,動的計画法の基礎理論についても,さまざまな角度から理論を深化させ,改善・発展させることを試みた。 この結果,基本的な枠組みとしては,不完備情報の社会経済システムを解析する上で,動的決定モデルを応用する可能性があるとの見通しが得られている。また,不完備情報の動的決定モデルとして定式化するための条件や,適応可能な範囲についての検討をはじめ,基礎的理論について,さらに有効な手段を提供する可能性があるとの見通しも得られている。 当初計画したように研究者との討論や,学習方法の基礎理論をはじめとする基本的な問題を検討することが中心となっており,個別的に進行する傾向があるが,当初の計画にしたがって進行していると考えられる。今後の課題としては,社会経済システムの問題を分析するためにデータを整備し,システムを構成することにおいて,数量化の点でやや困難があることである。しかし,学問的には基礎的な部分の理論を検討することが重要であり,その点を整備することから研究計画を進めていくことも重要であると思われる。 また,これらの結果を日本オペレーションズリサーチ学会,情報処理学会,日本経営工学会,経営情報学会,APORS'97(Asian-Pacific Operational Research Societies)などの研究集会で機会を捉えて発表を行い公表し,あわせて学会誌などで研究論文として随時公表している。
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