研究概要 |
本研究の目的は,メトロポリタンエリアおよびローカルエリアネットワークにおける障害発生のメカニズムを解析するとともに,障害予防手法,あるいは万一障害か生じてもその影響を局所的に留めるようなフォールトトレランス技術を研究開発することである.平成10年度における本研究の成果の概要を以下にまとめる. インターネットにおける実際のパケット損失を解析するため,TCP/IPにおけるソケットを用いたパケット損失測定ツール(ソフトウェア)を設計した.このソフトウェアを用いて日本国内におけるパケット損失を解析した.本学をはじめ,秋田大学,千葉大学,大阪大学,九州工業大学の協力を得て,約6ヶ月にわたり観測をおこなった.時刻によるパケット損失率の推移,パケットサイズを変えたときのパケット損失率,バースト損失長と発生頻度を調べ考察を行った,さらに,バースト損失モデルを提案し,理論解析を行った.このモデルは実測値およびシミュレーション値とよく一致することを確かめた. マルチキャストにおける誤り制御方法を検討するため基礎的な理論検討とシミュレーションをおこなっている.中継ルータが損失したパケットの回復をおこなう場合と回復をおこなわない場合を比較している.その結果,中継ルータがパケット回復をおこなうとパケットの総転送量が大幅に少なく出来るというデータが得られている.パケット回復に必要な計算量あるいはハードウェア量については今後詳細に評価する必要がある. 上記で得られたデータを基に,フォールトトレランスを実現するハードウェアならびにソフトウェア方式の開発ならびに特にハードウェアの試作等に関して,今後の研究課題として引き続き取組みをおこないたい.
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