| 研究概要 |
本研究の目的は,メトロポリタンエリアおよびローカルエリアネットワークにおける障害発生のメカニズムを解析するとともに,障害予防手法,あるいは万一障害が生じてもその影響を局所的に留めるようなディペンダブルコンピューティング技術を研究することである.平成11年度における本研究の成果の概要を以下にまとめる.
インターネットにおける実際のパケット損失を解析するため,UDPパケットを送受信する観測ツールを設計した.このソフトウェアを用いて日本国内におけるエンドホスト間でのパケットの転送遅延と損失の様子を調べた.秋田大学,千葉大学,大阪大学,九州工業大学の協力を得て測定をおこなった.その結果,時刻によるパケット転送遅延と損失率の推移に相関がみられることが確認できた.
たたみ込み符号を用いたパケット損失回復方式について提案した.インターネット上で送受信されるパケットに対する符号化,復号化手法として用いることができる.伝送路上でのパケット損失は独立に発生すると仮定し,パケット損失回復能力の理論解析をおこなった.パケット損失が回復可能であるための十分条件を導出した.同程度の冗長度を持つ単純パリティ方式と提案方式の比較をおこなった.シミュレーションの結果,提案方式の回復能力が優れていることが分かった.マルチキャストに対してもたたみ込み符号を用いた方式が効率よいことを示した.
インターネットの普及に伴い,TCR/IPパケットの処理が専用ハードウェア上でおこなわれるようになりつつある.本研究の一環として,TCR/IP機能の一部とPOP3およびHTTPを処理するためハードウェアを設計した.ハードウェア記述言語VHDLを用いた.約20000ゲート規模のFPGAデバイス上に実装し動作を確認した.
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