研究概要 |
本研究では,中国のエネルギー・経済・環境システムに関する研究の一環として中国の人口モデルを作成し,人口の長期推計を行った。本研究で得られた知見を次のようにまとめることができる。 1.1990年の生命表を作成した。それによると,1990年では,中国の男子と女子の平均寿命(ゼロ才の平均余命)はそれぞれ68.7才と72.6才になっている。 2.中国の人口モデルを作成した。本研究では生命表による1990年の平均寿命と国連による2050年予測平均寿命(男76.0,女80.5才)を参考に平均寿命の経年変化を作成した。各年齢における死亡率は平均寿命の延びにつれて同一率で低下していくと想定し,平均寿命から年齢別の死亡率および生存数を推定した。 3.本研究で開発したモデルを用いて中国の人口推計を行い,1990年〜1995年の間の平均TFRは1.87であることがわかった。仮に2050年までのTFRが1.87に保たれた場合,計算の開始年1990年から総人口が緩やかに増加し,2000年には12.7億になり,2035年の14.9億をピークに減少に転じる。その場合の2050年の人口は14.6億になる。 4.TFRが1.0の場合,従属人口指数は2040年以降に著しく上昇し,2050年までは80%以上になり,経済社会の持続は困難である。 5.環境・エネルギー制限によるTFRの上限および経済社会の持続性による下限を総合すると,中国の経済社会を持続させながら,人口を徐々に減少させるためには,中国のTFRを1.5〜2.0の間にすべきと思われる。 6.中国人口の簡易推計式を作成し,それによる計算値はプログラムによる計算値と1/1000以内の誤差でよく一致する。 なお,エネルギーモデル,経済モデルおよび環境モデルは現在開発中である。
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