研究概要 |
兵庫県南部地震では震災の帯地域以外に谷埋め埋土地域などの人工改変地で大きな被害が生じた。これら地域では集水領域となり,しかも軟弱層で覆われており,地下水位も浅く,傾斜しているため,地盤の流動が生じている。すなわち,旧の谷上部では開口亀裂などの引っ張りによる変形が,旧の谷の下部では圧縮変形による道路の盛り上がりや擁壁の水平亀裂による倒壊がみられる。この典型として,神戸市長田の大谷の人工改変地を詳細に調べ,馬蹄系の亀裂の存在などから,この谷埋め埋土地域が流動していることを,7箇所の家庭の井戸の水位やボーリング資料から明らかにし,この事実を第8回環境地質論文集としてまとめた。同じような人工改変地のデータをまとめ,いづれも傾斜地下水位と軟弱な谷埋め埋土のために,地盤の流動が生じていることが明らかとなった。また,長田,須磨地域の急傾斜地崩壊危険地域が降雨とともに,崩壊が広がり,100mmを越える降雨,30mmの時間雨量が生じたときに,崩壊が拡大する事が明らかとなった。このように,降雨による崩壊の拡大が生じているところが,神戸市で39箇所にもおよび,それらのリストを神戸大学発達科学部研究紀要として公表した。その結果,行政側による防災工事が集中して行われ,来年度の降雨ではかなりの被害はくい止められることが明らかとなった。
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