研究概要 |
本年度は本研究の初年度であるので,サンゴ礁海岸での諸現象を対象とした研究文献を収集するとともに,沖縄諸島の海岸災害に関する資料を収集した。同時に,沖縄本島の海岸の現地調査を実施して海浜状況を把握するとともに砂浜の消長に関する情報の収集を行い,さらに,過去の気象データを基に,特に沖縄諸島に災害をもたらした台風について詳細な資料を収集した。具体的な内容は以下の通りである。 沖縄諸島のうち,本年度は沖縄本島にしぼって北部海岸を皮切りに海岸の実地踏査を実施して砂浜の実態を調べ,海浜流系と地形特性を基に海岸域を区分し,各区分域について過去の災害資料を基に災害地図の作成を試みた。さらに、それぞれの海岸区域について,海岸災害を引き起こした台風の経路を調べ,海岸地区毎の危険経路図を作成した。各経路に対して,気象データよりもっとも危険度の高い諸元を有する仮想台風を想定し,各海岸地区の沖波諸元を推算し,数値計算によって長周期を含めた波浪及び海浜流諸元を求め,波の遡上高,波力,流れの大きさを推定し,現況海岸構造物や海岸近くに位置する構造物等の危険度を検討して災害ポテンシャル図を作成したが,波浪推算や海象諸元の計算については,実測データによる精度検討が必要と思われるので,この点について研究をさらに進める予定である。さらに,砂浜を有する海岸については既存の資料を基に海浜流系のモデルを作成し,数値シミュレーションによって砂浜の安定性の検討を行って海浜安定指標図(素案)を試作したが,現地踏査結果と突き合わせてみると,小規模のポケットビ-チについては再現性に検討すべきところががあり,今後この点の改良に努めていく。 なお,本年度の研究成果については,琉球大学工学部紀要および土木学会海岸工学論文集に投稿公表の予定である。
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