本年度は2年継続研究の2年目にあたるので、研究計画に基づき、主として宮古島・石垣島を中心に、昨年度と同様な手法で海岸災害および海浜の消長に関する調査を実施した。なお、本年は計画研究の最終年にあたるところから、2年に亘る研究の取りまとめを行った。具体的な内容は以下の通りである。 1)本年度対象は先島諸島であるが、宮古島・石垣島両島にしぼって海岸の実態調査を実施して砂浜の実態を調べ、海浜流系と地形特性を基に海岸域を区分し、各区分域について過去の災害資料を基に災害地図の作成を試みた。なお、先島に関しては明和8(1771)年の明和大津波と昭和33(1958)年の八重山群島の大地震が著名であり、両地震についてはできるだけ多くの文献資料の収集に努めた。 2)上記の各区分海域について、海岸災害を引き起こした台風の経路を調べ、海岸地区毎の危険経路図を作成した。 3)各危険経路に対し、気象データを基に危険台風(風速・風向、襲来波に関し最も危険な諸元を有する台風)を推定して・各海岸地区での沖波諸元を推算、数値計算によって波浪および海浜流の諸元を求め、波の遡上高、波力、流れの大きさを推定し、現況海岸構造物や海岸近くに位置する構造物等の危険度を検討して災害ポテンシャル図を作成した。 4)本地域に対しても、昨年同様砂浜海岸については既存の資料を基に海浜流系モデルを作成し、数値シミュレーションによって砂浜の安定性の検討を行って海浜安定指標図を作成したが、海浜形状パラメータについてはさらに検討が必要である。
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