タンデムミラーのエンド部を介した電流循環の解明とその抑制

1997 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 09680454
• 研究種目: 基盤研究(C)
• 研究機関: 筑波大学
• 研究代表者: 斉藤 輝雄 筑波大学, 物理学系, 助教授 (80143163)
• 研究分担者: 立松 芳典 筑波大学, 物理学系, 講師 (50261756) ; 市村 真 筑波大学, 物理工学系, 助教授 (10151482) ; 際本 泰士 筑波大学, 物理工学系, 助教授 (50018040)
• キーワード: ブラズマ / タンデムミラー / エンドプレート / 電流制御 / 非両極性電流

研究概要

本研究の目的は、タンデムミラーの装置端部に設置されているエンドプレートを介した循環電流の原因を明らかにし、以下の問題を解決することである。
(1)装置端への熱流軽減と非両極性電流の大幅な抑制を実現する。
(2)真空容器に対するプラズマ各部およびエンドプレートの電位決定機構解明のために、真空容器とプラズマを一体として考えた回路系において、電流がどの様に分布しているかを明らかにする。
2年計画の初年度である今年度に得た結果は以下の通りである。
(1)エンドプレート表裏の絶縁のため、径方向に分割されているエンドプレートの内、中心プレート裏面に絶縁サポートで支持されたSUS板を設置したが、プレート電位は大きくは変化しなかった。今後別の絶縁方法を試す必要がある。
(2)エンドプレートの接地抵抗を変えて、エンドプレート及びプラズマ各部の電位、エンドプレートに流入する電流を測定した。この結果、プラズマの実効抵抗値が数kΩであること、ECRH印加中はエンドプレートを介する循環電流の大きさは接地抵抗値にあまりよらないこと等が判明した。一方、ECRHが印加されていない時間帯でも、半分程度の循環電流があること、この電流は接地抵抗が小さくなると次第に小さくなり、さらには方向が逆転することが分かった。
(3)バリア部磁気中央面付近にリミターを新設し、既存のリミターとともに径方向電流を測定した所、ECRH入射時にイオンの径方向電流があること、またその大きさが数Aで、エンドプレートの電流バランスから予想されていた循環電流値と同オーダーであることが分かった。しかし、ECRHが印加されていない時間帯では、リミターにはごく小さい電子電流しか流入しないので、この時間帯の循環電流はプラグ/バリア部以外を経由していると考えられる。
次年度はさらに、循環電流の駆動機構を解明し、その効果的な抑制方法を確立する。

研究成果

• [文献書誌] K.Kajiwara, T.Saito, Y.Kiwamoto.et al.: "Current balance at an Endplate of the GAMMA 10 Tandem Mirror" Journal of the Physical Society of Japan. 66・8. 2342-2349 (1997)
• [文献書誌] Y.Tatematsu, Y.Kiwamoto, T, Saito.et al.: "Non-Relativistic Response Function for Higher Harmonic Electron Cyclotron Resonance Heating" Physics of Plasmas. 4・8. 2972-2981 (1997)
• [文献書誌] Y.Kiwamoto, T.Tamano, T.Saito.et al: "Anisotropic Hot Plasma in the GAMMA 10 Tandem Mirror with Minimum B Inboard Anchors" Plasma Physics Reports. 23・9. 732-741 (1997)
• [文献書誌] Y.Yoshimura, T.Saito, Y.Kiwamoto.et al.: "Potential disrtibution in the End Region of the GAMMA 10 Tandem Mirror Associated with Electron Flow Control" Journal of the Physical Society of Japan. 66・11. 3461-3469 (1997)
• [文献書誌] T.Saito, Y.Tatematsu, Y.Kiwamoto.et al.: "Effects of Anisotropy of End Loss Electrons on Axial Potential Profile and Electron Transport in the End Region of a Tandem Mirror" Journal of the Physical Society of Japan. 66・12. 3809-3814 (1997)
• [文献書誌] M.Nakamura, M.Ichimura, S.Tanaka.et al.: "Excitation of the Alfven Ion Cyclotron Mode Solely by the Ion Pressure Distribution" Japanese Journal of Applied Physics. 37・1. 324-343 (1997)