研究概要 |
福井大学では,超高周波・中出力・周波数可変ジャイロトロンの開発を行っており,サイクロトロン基本波動作と二次高調波動作を併用したジャイロトロン(Gyrotron FU Series)により,周波数890GHzまで周波数可変で出力100W-1kWを達成している。本研究では、福井大学で開発したサブミリ波ジャイロトロン(Gyrotron FU IV)を大型核融合装置内に自然励起される密度揺動の散乱計測等の光源として応用するために、出力の伝送システムの開発研究を行う。 (1) 周波数156GHz(TE_<12>モード)から812GHz(TE_<19>モード)にいたる広い範囲の帯域で共通のモード変換用アンテナ、得られたガウシアンモードを回転楕円面金属ミラーによって伝送するシステム、偏向面を任意に設定してプラズマに入射するためにgrooveを有する一対の金属ミラーからなる偏向器を、設計し製作した。これらを組み合わせて,伝送システム全体を構成し,Gyrotron FU IVの出力を用いて性能テストを行った。偏向器は周波数によって異なるので,これを除くシステムのテストを,ジャイロトロンの各発振モード(TE_<0n>、及びTE_<1n>モード)について行い,プラズマ中の測定点に対応する位置でのモードパターンと伝送効率を求めた。 (2) 次に,偏向器を伝送システム中に挿入して,ジャイロトロン出力を用いたシステム全体の性能テストを行った。偏向器を構成する対向する一対の金属面上のgrooveの方向の相対角度を変化させて,偏向面の方向が任意に設定できることを確かめた。 (3) 設計値と性能テストの結果を比較検討して,システム全体の評価を行い,核融合装置に実際に設置して,サブミリ波散乱計測を行うことを計画した。このために,Gyrotron FU IV,本研究で構築した高効率伝送システムにサブミリ波デテクションシステムを付加して,散乱計測システムを構成する。
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