今年度の研究から、マッハプローブによる磁力線方向のプラズマ流速測定の理論、実験について、次のようなことが明らかになってきた。 1 Chung等が提案していた方法での流速の測定方法では、トカマクなどの核融合関係の装置で問題となっている、いわゆるリサイクリングの問題が起き、理論どおりの測定は無理である。 2 しかし、我々が本研究で開発した新しい方法では、その問題が軽減又は皆無にできる事が分かった。 3 新しい方法とは、マッハプローブの前面(プラズマ流の方向)にセパレータを置き、その時のイオン流と、セパレータの無い場合のイオン流の比から流速(マッハ数)を決めるものである。 4 この方法で粘性係数も決定できることになる。このような簡便な方法でプラズマの粘性係数が決定できるのは、画期的である。 5 しかし、これら流速と粘性係数は、理論上で拡散項のある近似の取り方ができるとき解析的にもとまるのであって、その近似が正しいかどうか疑問もある。 6 正しい流速の決定方法として、簡便ではないが、アルヴェン波を上流、下流両方から伝播させたときの位相速度の差を利用して求めた。 7 アルヴェン波による流速は、マッハプローブによる値に比べてやや低かった。 8 その差の原因の一つは、上記の近似の問題があると考えている。 9 今後の課題として、理論上では近似の問題、実験上ではプローブサイズの効果の軽減がある。
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