研究概要 |
多段リング電極型トラップを用いて、エコー実験をする上で必要不可欠な″静かな″プラズマを形成し、これにバースト的な静電波波束を印加して以下のような研究成果を得ることができた。 まず、41個の同軸多段リング電極群にV(z_j)=V_<well>z^2_j/L^2の形の電圧を加えることにより四重極ポテンシャル配位を作り、回転楕円体状の電子プラズマを形成した。電子源にはFEA(Field Emission Array)カソードを用い、多パルス蓄積法を用いて密度を制御した。温度制御には、軸対称静電波モード(l=1,2,3,...)を励起し、そのLandau減衰により電子が加熱されることを利用した。磁場強度400Gにおいて、長さ40-50cm、密度10^6〜10^7cm^<-3>、温度0.2〜8eVの非中性電子プラズマを″静かに″安定に閉じ込めることができた。 次に、軸対称なバースト的静電波波束を時間間隔をあけて2回、プラズマの端より印加する実験を行なった。そして、異なる位置のリング電極に誘起される電荷を広帯域高ゲインアンプを用いて増幅し、4ch高速デジタルオシロスコープにて記録した。その結果、第1の波束が減衰した後、第2の波束を励起し、それも減衰した後になって新たな静電波が励起されるというエコー現象が観測された。時間的には一つのモードが消えると他のモードが励起されるという排他的遷移が起こっており、複雑な過程を持っている。励起された静電波は回転楕円体状電子プラズマのTrivelpiece-Gouldモードであると同定される。
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