研究課題/領域番号 |
09680466
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研究機関 | 富山県立大学 |
研究代表者 |
松本 和憲 富山県立大学, 工学部, 助教授 (00107179)
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研究分担者 |
山崎 茂一 富山県工業技術センター, 機械電子研究所・電子技術課, 主任研究員
川端 繁樹 富山県立大学, 工学部, 助教授 (90224831)
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キーワード | PCB / 光脱塩素無害化処理 / プラズマ紫外線源 / 多相交流放電 / 多極磁場 |
研究概要 |
二年継続研究の最終年にあたる本年度は、処理容積が10lの新装置におけるPCB脱塩素化実験を中心に研究を行い、実際に保管管理されているPCBサンプルを使用し我々の方式の有用性を試験した。鉄道総合技術研究所から一時借用した車両用トランス油の高濃度PCB(kC1000)のサンプルを用いた実験において、サンプル液を希釈し紫外線浸透距離を適当に長くとれば、PCB成分(KC500)を完全に脱塩素化できることが分かった。一方、電力会社から一時借用した柱上トランス鉱油中に低濃度で混入しているPCBサンプルを用いた実験において、鉱油の紫外線吸収が強くPCB成分の脱塩素化が効果的に行われないことが分かった。 新装置は、電極へ大きな電力を安定して供給できるように、また、残留ガスによる電極からのスパッタリングによる光透過低下を防ぐ為に、電極内部に純水を循環させる直接冷却方式を採用し、また、高真空排気機能を持つターボ分子ポンプを使用した。12枚のチタン製円弧状電極が、絶縁フランジを介し各電極間および装置壁間との絶縁を保持しながら、ステンレス円管の円壁に沿ってセットされた。各電極内には電気抵抗の大きいイオン交換水が流され、電極で発生する熱は直接除かれた。電極へは12相交流電源が供給され、また、電極近傍にプラズマを閉じ込める櫛形状12極磁場を構成する為に装置外壁の円周方向に沿って12本の永久磁石と装置上下端に2本のリング磁石が取り付けられた。装置内部には、PCB試料液を入れた石英管が挿入され、更に、その中に液温を調整する為に熱交換器が挿入された。紫外線の透過距離が短いので、中心部の試料液を表面に撹拌する為にタービン型の撹拌器が取り付けられた。紫外線の測定は、試料液内部に挿入された石英光ファイバーにより分光器に導かれ常時モニターされた。 本研究で得られた成果の実用化を検討する為に、紫外線とバイオテクノロジーを併用したPCB処理プラント技術を開発している鉄道総合技術研究所と三菱重工業(株)と我々のチームとの合同の研究会を本学で開催し、本研究で開発した装置を紫外線照射PCB脱塩素化処理部としてプラントの中へ組み込むなどを議論するとともに、今後の協力について話しあった。
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