天体構造形成におけるトロイダル磁場の役割

1999 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 09680468
• 研究機関: 湘南工科大学
• 研究代表者: 鷲見 治一 湘南工科大学, 工学部, 教授 (60023686)
• 研究分担者: 森 正夫 東京大学, 理学部, 学〓特別研究員 ; 田中 高史 郵政省通信総合研究所, 宇宙科学部, 主任研究員 ; 柴田 晋平 山形大学, 理学部, 助教授 (90187401)
• キーワード: 天体構造 / トロイダル磁場 / 天体プラズマ / 宇宙プラズマ / 超新星 / 太陽圏

研究概要

本研究では、3ヶ年計画で、恒星周縁ガス構造及び太陽圏外圏など様々な天体の巨視的な構造の形成にトロイダル磁場が重要な役割を担っていることを、個々の事例を積み重ねることにより明らかにすることを目的としている。本年度は最終年度にあたり、従来からの(1)太陽圏外圏構造及び(2)超新星1987A周縁ガスのリング構造の解析、について研究を進め取りまとめを行った。
3次元電磁流体的(MHD)スキーム及び図形表示システムを開発・改良し、スーパーコンピュータを用いて大規模シミュレーション解析を実行し、理論解析と併せて研究を進めた。
(1)については3次元太陽圏外圏ガスとトロイダル磁場を基本とする磁場構造及びそのダイナミックスについて、前年度からの(i)太陽11年周期活動に伴う磁場の極性の反転及び太陽風速度の変動の解析、に加えて新たに(ii)黄道面に平行名な磁気中性面の効果によって終端衝撃波及びへリオポーズ面は黄道面で極端に内側に凹む構造となり、銀河宇宙線や星間ガス中性粒子の太陽系への侵入に大きく影響するであろうことを明かにした。
(2)については最近の超高精度観測による超新星1987A周縁ガス構造の3リング構造についてトロイダル磁場による磁気圧効果によって解明出来た。
(1)及び(2)について当初の計画以上に研究が進み、超新星周縁の天体プラズマ構造及び太陽圏外圏構造の形成にトロイダル磁場の重要性が確認出来た。本研究により、きわめて普遍的に、恒星の自転に伴って生成されるトロイダル磁場が天体周縁構造に重要な役割を果たすことを明かにすることが出来た。

研究成果

• [文献書誌] H.Washimi & T.Tanaka: "MHD structure of the heliosphere and its response to the 11-year solar cycle variations"Adv.Space Research. 23. 551-560 (1999)
• [文献書誌] T.Tanaka & H.Washimi: "Solar cycle dependence of the heliospherec shape deduced from a global MHD simulation of the Interaction process"J.Geophysical Research. 104. 12,605-12,616 (1999)
• [文献書誌] H.Washimi:T.Tanaka & K.Munakata: "MHD structure of the outer heliosphere-for the study of the tail in anisotropy of the cosmic-ray"Proc.Solar Wind Nine. 827-830 (1999)
• [文献書誌] K.Munaka,H.Washimi et al.: "Gaussian analysis of two hemisphere observations of two galactic cosmic ray sidereal anisotropies"Proc.Solar Wind Nine. 573-576 (1999)
• [文献書誌] L.Mestel,P.Panegi & S.Shibata: "Model pulsar magnetosphere:the peculiar rotator"Monthly Notice Royal Astronomy Society. 309. 388-394 (1999)
• [文献書誌] M.Mori,Y.Yoshii & K.Nomoto: "Dissipative Process as a mechanism of differentiating internal structures between dwarf and normal elliptical galaxies"Astrophysical Journal. 511. 585-594 (1999)